2009年02月27日
2009.2.27

不意だった。
トビウオが顔面をかすめて、
ツィーっと消えた。
と思ったら、
眼下を
川上に、直線に飛んでいった。
それは、紛れもなく、
繰り返し見てきた、トビウオの飛び方だった。
トビウオと同じ飛び方をするのは、
セグロセキレイ

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2009年02月27日

不意だった。
トビウオが顔面をかすめて、
ツィーっと消えた。
と思ったら、
眼下を
川上に、直線に飛んでいった。
それは、紛れもなく、
繰り返し見てきた、トビウオの飛び方だった。
トビウオと同じ飛び方をするのは、
セグロセキレイ

2009年02月21日

(ゆーりかごーの うーえで
びーわのみーが ゆーれるよ
ねーんねーこ ねーんねーこ ねーんねーこよー)
ずっと、枇杷の木だと思っていた。
ゆりかごの上に、細長い深緑の葉が茂り、
春のゆるい光に揺れている。
光沢の葉群は、
ザワザワいうことなく、
しかし、軽くなく、
静かにゆっくり揺れている。
なんて気持ちいい午後だろう。
赤子でなくとも、永久に微睡んでいたくなる風情である。
だが実際は、枇杷の実、なのであった。
わたしは、枇杷の実にあまり思い入れがない。
幼い頃、初めて出会った枇杷の実は、
日に褪せたような皮の色に、
実も同様の味がした。
そしてまた、種子が異様に大きく好ましくなかった。
ところが、最近初めて、枇杷の花に出会った。
深い産毛で美しい世界を閉ざし、
ひっそり寂しく咲いている。
うっすりと冬日のなかで、
誰に媚びることもせず、
ただ、己の意志でひと知れず咲いているのだ。
幽かで、遠慮深く、
花なのに飾らない。
その様子は、胸を撃った。
そして、
その実の味を合点した。
枇杷の実は、実のりの甘美と雪の余韻だ。
こんな寒い日に咲くのだ!
粉雪より儚い花の名前は、
びわ といいます。

かすかに、先がほどけて
冬薔薇のつぼみはかたいよ
ある日、オーヴェルニュの野で
あんずの花盛りをえがいたゴッホは、
その絵の裏に
「死んだ人は、生きている人の記憶のなかに生きている限り、死んでいない」
としるした。
わたしは、
いろんなことを思い出さないだけで、
忘れてしまったわけではない。
ゴッホのあんずの花を、ずっと、桜だと思っていた。
そして、桜なんて意外だと思った。
だけど、その勘違いでなんとなくゴッホを近くに感じた。

あんずの花と知って、事実と真理と真実は揺れたけど、
わたしはこの絵が、一層好きだ。

2009年02月06日
たまに、どうしても還りたくなる
ある夜の風景。
遥か弧を描いた海岸線に、細い汽車が走っていく。
月明かりで、砂浜がほのかに光っている。
均一にもれる汽車の窓明かりと、
よせてはかえす波だけが、
流動的に眼に映り、
あとはもう、ただ静かだ。
わたしはこの景色を想うとき、
なぜか蛤の気持ちになる。
風と波と…
それ以外はもう何も聴こえてこない。
ビーヨー ビーヨー
ザッパーン ザーン
ザザーン
風と波と…
そのうち、世界からひっそりと抜け出し、
怖いような、尊いような、
淋しいような、満ち足りたような、
ゼロになる。
闇はいっそう深く輝き、
藍が厳しい。


2009年02月03日
〈ヒヨドリのキーちゃんへ〉
いつも、いったりきたり忙しそうだね。
今朝もお隣の万両をせっせとほおばって、
ちょっと食べ過ぎなんじゃない?
嘴、すっかりルビー色だよ。

キーちゃんさ、顔を洗うときに、
「いなくなっちゃうよ!」
って、いうのなんで?
あわてた声で、面白いね。
この前さ、キーちゃんが、
「みんなにね、生まれた朝があるんだよ。」
って、教えてくれたでしょ。
この世界中、命あるものみんなでしょ。
そういうのって、なんかいいね。
キーちゃんは、キーちゃんの生まれた朝のこと覚えてる?
空の色とか覚えてる?
また眠るときに、きかせてね。

それからさ、たまに、
「雲さんケンカしないのー」
って、怒ってるでしょ。
雲さんは、ちゃんと言うこときいてくれてる?
キーちゃん、友達たくさんでいいなぁ。
ねぇ、また今度、いっぱいお話ししてね。
おやすみなさい。
2009 2 2 スミレより。

2009年02月02日
…北風が杉の木立に留まっている。
空も原っぱも
空気まで真っ青な午後
原っぱにごろんと寝転んで、深呼吸して目を閉じた。
娘が駆けてきて、
おなかの上に、何かのっけていってしまった。
薄目を開けると、
小さなどんぐりとタンポポの花。
それが妙に、神聖にくすぐったくて、
落ちないように、
そうっと、すったりはいたりした。
娘はまた駆けてきて、
小さな手のひらをすっかりカラッポにしてくから、
なんだか、ポカポカ、
春が来ました。
