2008年01月27日

都会の街猫 part.11

都会のマチネコの見る夢は、
たとえばそれは、やむことのない木漏れ日のシャワー

blogphoto_a_232.gif

旅ツバメの話だとね、
南イタリアのある島に、とびきりのやつがあるらしいんだ。


さわさわ ざわざわ

潮風が吹いても飛んでいかない、

ふうわり ふうわり

太陽が静かに降り積もっていく。

ゆーら ゆーら

木漏れ日は繊細に傾きを変えて、

キラキラ

星明かりも、また、格別な瞬きなんだって。


昔、木漏れ日が、ある詩人に恋をして、

その愛は永遠だったから、

今もたゆまず降り雪いでいるというわけ。


夢に見るのは、

真実の温もり

ひとつの愛

blogphoto_a_233.gif

2006年03月21日

都会の街猫 part.10

都会の街ネコの見る夢は、
たとえばそれは、平野を埋め尽くす4月の麦畑

…ツバメのイメージ

路地裏の迷路なら得意なんだけどね
行き止まりのない迷路は、僕まだ行ったことないんだ
だって、麦畑って永遠ってことでしょ!?
青く靡く風を見つめて、僕は白い帆を張ったヨット
風にまかせて、行きたいところへトリップ!
仲良しのソックスも一緒さ
遊び疲れて、ひんやり根っこの海原にゴローン
う~ん、って伸びをして、両手をなるべく高くに掲げる

両手がこの空を支えているという一瞬の錯覚
眩暈しちゃう…
そのまま、静寂にからまれて、僕はゆっくり目を閉じる
会いたいのは、砂漠の中に眠っているチューリップ色の僕の化石
不思議な事なんてないよ
だって、4月の麦畑だもん

blogphoto_a_107.gif

みんなもここに来ればわかるよ。

2006年01月14日

都会の街猫 Part.9

都会のマチ猫の見る夢は、
たとえばそれはバイシャ地区

blogphoto_a_095.gif

最果ての地がこんなにもおおらかなところだったなんて!
黄色の路面電車はコトコト走るよ
ピンクにエメラルドグリーンにライトグレー…、
やさしい色合いのアズレージョ達
美しい町並みを抜けると、
乾いた風が、寝ぼけた左右のひげをくすぐって、
僕はちょっとだけキュンとなる
午後の光、ヒラヒラ落ち葉を追いかけて…
風が奏でる、気紛れな音の在処に立ち止まる数だけ、
暮らす人々の親しみと出会う

僕が路上を横切ると、コトコトはゆっくりと速度を緩めて…
だから僕は、かえって焦ってしまうんだ
そんな僕の慌てぶりに、窓辺に座ってたおばぁちゃんはニッコリ

バイシャ地区の天辺まで行くと、
底には、地平線の変わりに水平線が見える

blogphoto_a_096.gif

キラキラ…、奇麗な海だなってまどろんでいたら、
一羽のカモメが、「あれは河だよ」だって!
青いから海だと思っていたら、びっくり、河だって!
海も河も、神聖な色は青いんだね

blogphoto_a_097.gif

自慢じゃないけどね…、僕の瞳も同じ色してるんだ

2005年12月01日

都会の街猫 Part.8

都会の街猫の見る夢は、
それはたとえばアポロン神殿の夕日。

人世界では、朝日はよく崇められてるけどさ
「ご来光」とか言ってさ
うん、確かに、朝日は世界の始まり、特別な感じはするよね。
でも、僕は断然夕日の方が好きさ!
夕日が少しずつ沈んでいく時の、その世界に漂うセンチメンタル…
あのセンチメンタルって、とびきりやさしい気持ちになるんだ。
なんとなく身近にいるんだよね。
だからさ、僕はアポロン神殿で、ゆっくり夕日と語りたいわけ。
何を語りたいかは秘密さ。

blogphoto_a_091.gif

夕日と語り合ったって話はまだ聞かないけど、
あそこならきっと出来そうだと思わない?

2005年11月17日

都会の街猫 Part.7

都会の街ネコの見る夢は、
それはたとえばクンミンの空の下
そこはね、別名が「常春」なんだって
「常春」って、ずーっと、春ってことなんだよ
寒くて凍える木枯らしの夜、蒸し蒸し暑い凪の夕べ、
そんな日は一日もないんだって!
そこで僕は、毎日空を見上げて暮らすんだ
春の空って好きさ
だって、ぼんやり眺めるのに丁度いいじゃない
とびきり寝心地のいい草原でうーんって伸びをしてリラックス
白と黄色の花が輪になって咲いてる
ここなら虹の橋を渡れるかもしれない
あっ!!
東の方からドラゴンがこっちに翔んでくる!
僕の上まで来て、慌てて雲のフリしたよ

blogphoto_a_082.gif

2005年11月16日

都会の街猫 Part.6

都会の街ネコの見る夢は
たとえばそれは、月の中のウサギ
blogphoto_a_073.gif
今宵もクルンと地球一周
いいな、いいな、いいな
でも、本当はお月は動いていないんだって!
blogphoto_a_074.gif
そんなの大したことじゃないよね
だって、「動いてるみたい」より、「動いてる」方が断然イカしてるもんね
ほら、今日はアルゼンチンの上空でダンス
blogphoto_a_075.gif
もうすぐで、ナスカに描いた僕の落書き見えてくるよ
ナスカの地上絵のすぐそばさ
見て!
いっつも追いかけても、すぐ飛んでいっちゃうあの鳥より高く飛んでるよ
blogphoto_a_076.gif

ここだけの話さ、
お月の中のウサギの耳は、天女の羽衣と同じなんだって
僕の耳も伸びてくるかな?

2005年10月24日

都会の街猫 Part.5

都会の街ネコの見る夢は
それは、白い壁が続くシチリア
そこではいつだって僕が主人公
白い道から白い壁を蹴って白い雲までジャンプ!
心地よい汐風の日はお気に入りの場所でたそがれる
ここでは人の気配にビクついたりしない
だってここでは僕が王様

blogphoto_a_056.gif

でもね、無用に威張ったりワガママいったりしないんだ
そうさ、僕はシチリアのとびきり清涼な空気、何も飛び出る必要はないんだ
ほら、これがシチリアの平安の秘訣さ

2005年03月25日

都会の街猫 Part.4

blogphoto_a_025.gif

都会の街猫の見る夢は
たとえばそれは
迷子にならない道標
なわばりあらそいで遠くに遠くに追いやられたって
この迷子にならない道標があれば平気
夜空を走る電線みたいにひっそりと
歩いて戻って帰れる

blogphoto_a_026.gif

2005年03月12日

都会の街猫 Part.3

都会の街猫の見る夢は
たとえばそれは
ロシアの猫サーカス団。

blogphoto_a_019.gif

そこは本当夢みたいなとこなんだって。
サーカスの芸は僕たちのいつものおにごっこ。
木に登ったり、トンネルをくぐり抜けたり、慎重に細い塀を歩いたり、
それでおやつまでもらえるんだって。
きっとそのサーカス団の次の駅が
天国っていうところなんだよ。

2005年03月06日

都会の街猫 Part.2

都会の街猫の見る夢は
たとえばそれは
暖炉のある家の窓辺
凍える夜 パチパチゆらゆら
オレンジの明かりに目を閉じる
そこには約束された静かな時の流れ
ただ目を閉じてさえいればいいんだ

blogphoto_b_003.gif

都会の街猫の見る夢は
たとえばそれは
長崎の坂の上に住んでいる猫族
ニャーンといえばニョーン
四方から仲間たちの合図
あの日秘めた悲しみなんて次の集会に出て
座ってるだけで吹き飛んでしまう
金、銀、ブルー、チャコールグレー、オーシャングリーン
満月にウィンク
ニャーンといえばニョーン

blogphoto_b_004.gif

2005年02月17日

都会の街猫 part.1

都会の街猫の見る夢は
たとえばそれは浜辺の夕焼け
まだ昼間の熱のさめないなだらかな浜辺に寝転んで
長いしっぽをたまにパタパタ
やどかりがセンチメンタルをじゃまするんだ

blogphoto_b_001.gif

都会の街猫の見る夢は
たとえばそれはカワラ屋根の上
グレー、ブルー、茶系の赤いの
でこぼこの段差がいろんな波を作っていて
そこで近所の猫たちと語らうんだ

blogphoto_b_002.gif

明日の天気は晴れるかい?って