2009年01月30日

2009.1.30

誰も眠っているかしら?

窓をあけて、雪の降るのを見ている。

なにを見るでなく、雪の降るのを見ている。


そして、まわりの色に吸収される。

しずかに、そっと、
わたしは、おだやかな気持ちになった。


ひくい空を、わたしの頬杖でささえている日。


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2008年09月14日

2008.9.14

懐かしい人に会った。


その坂を下った角にある、本屋さんで見つけた絵本が気に入って、
最近、この坂の上に越してきたって、
少し恥ずかしそうに話した。

朝靄に、若葉の香りが立ち込めている。

そんなに、ロマンチックに生きてるって、素敵だ。

元気そうなのが、なによりうれしい。


そう思ったら、目が覚めた。


坂の上には、ノウゼンカズラが、
垣根を乗り越えて咲き乱れていた。


…わたしの棲む町に、凌霄花の花を見ない。

それで、少し、たすかっている。

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2008年08月30日

2008.8.30

窓をひらいて
窓にもたれていればいい。


そんなにも、私は、
八月が来るのを待っていた。

ただ、
八月が来るのを待っていた。

ああ、
葉っぱが、青空にかえりたがっている。

葉っぱが、青空にかえりたがっている。


ほら、
空を蹴りあげて

拡散する…

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2008年08月22日

2008.8.20

夏かげろう、セミのブローチ、枯草の匂い


風は吹かないけど、心は揺れるよ。


スバルはすずらんの香りがした。

リゲルは一番に咲いた白つばき

待宵草は天の河原に咲き乱れて、

シリウスはまだ遠く

おおきなおおきな木星は、
うつむいて泣いている向日葵だった。


お月のウラ側は今宵、芒が原

トンボのわたしは
群れを離れて、

ひとり

天空の月を目指す。

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2008年06月01日

2008.6.1

スミレ タンポポ レンゲ ツクシ
カイドウ リンゴ カラタチ ヤマブキ
アザミ ツゲ レンギョウ サンザシ
カタクリ ユキノシタ リラあるいはライラック
ヒヤシンス ヒトリシズカ クロッカス フッキソウ
キリ ハス ユリ ケシ シャクナゲ ボタン
テッセン クチナシ シモツケ ムラサキケマン
スオウ モクレン ハナナ キツネノボタン
シャガ ノイチゴ ハハコグサ オオイヌノフグリ
コナシ ニリンソウ イワカガミ レンゲツツジ
アセビ コデマリ ミヤコワスレ エンレイソウ
デルフィニウム ノバラ ツルバラ

ああ、エニシダ

道草に時を忘れた。


花の名前は、わたしの生きてきた証し。

ただ、気付いてくれるのを待っていただけ。

立ち尽くし涙流る。


幾万重の花びらを数えて歌おうよ。

いつまでも、夢の中でも。


終わりなどないけど、
サクラの季節は、
もう、逝ってしまった。

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2008年05月28日

2008.5.28

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パラン パララン

クスの並木道

お天気雨が降り出した。


つばめ風が吹くと、
パランパランパランと降り注ぐ。


なんと明るい軽やかな音楽!

アフリカの太鼓

バレエシューズの爪先

ウサギのタップ

天使の鼓笛…


パラン パララン


ああ、空からポップコーンが降ってくる…

よくよく見れば、
無数に降り注ぐ、星の形のクスの花花!


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2008.5.26

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夜のアサ。


雷の閃きの数だけ、

ベランダの朝顔のタネがひらいた。


寝不足の脳髄に、鮮明な双葉。

薄きいろの、目覚めたばかりのチョウの羽。

「おはよう。」


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2008.5.26

なんの言葉も頭に思い浮かばない日々。

どんな音楽にも心揺さぶられない日々。

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そんな日々は、静かに、
そばの植物たちにお水をあげる。

葉に水のはねる音
水滴のコロコロ
万華鏡のしずく

花々はひらいてとじて
その日の花殻を手のひらに集めて


ただなんとなく、じっくりと

植物たちにお水をあげる。


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2008年03月08日

2008.2.16

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「あしたから もう あのことあそばない」

「おはなであたしをぶったもの」


氷の底の石ころの会話。

ダイヤモンドのあぶくが、月の明かり目指してまっすぐに浮游する夜です。


ところで、

あたしのチューリップの芽をついばむのは誰?

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2008年02月08日

2008.2.7

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まだまだ木枯らしの冬の日です。


子ウサギが、朱い実を探して雪原をピョンピョン。

母さんウサギは言いました。

朱い実は、お山にピンクのぼんぼりが灯らないと、
どこまで行ってもありませんよ。


だけど、子ウサギはピョンピョン。

どうしても、朱い実が食べたいのです。


ピョンピョン
ピョンピョン


わさり!

椿の花が明るい音をたてて、
一輪落ちました。


子ウサギは、はっとしましたが、朱い実ではありませんでした。


ピョンピョン
ピョン…


もう、お空は低くなって、
夜のマントを羽織っています。

さすがの子ウサギも、
お家が恋しくなりました。

お空は、美しい星たちが朝露のようにキラキラしています。


ぴかり!


足元に、さそり座の目玉のような、
ルビー色の美しい実が光っています。

子ウサギは大喜びで拾いました。


それは、とてもとても美しい、
葡萄のようなビー玉でした。


子ウサギは、
嬉しいような悲しいような、
なんともいえない気持ちになって、

声をあげて、
わーわーわーわー泣きました。

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