2006年06月26日

2006.6.26

久しぶりに公園に行ったら、バリケンに友達が出来ていました。
目付きの悪い、2羽の太ったアヒルです。
ガーガーガーガー
せわしなくしゃべってる。
ああ、だけど、バリケンは声を発しない。

ということも、あの2羽は気にしてないみたいだね…。。
友達出来て、良かったね、バリケン。

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2006年06月23日

2006.6.23

大きくはないが狭くもない、あの川に沿ったあの道は、この時期、靄が立ち込めた。

私は、暗い道と呼んだ。普段あまり通らないのは、その道と平行して30メートル程先に、
それより広い道があるからばかりではない。
その道は、川の流れのまま、不規則に柔らかく蛇行していて、決して長くはないのに先の知れない、
トンネルのような異界を感じた。その頃の私は、尋常なく異界に敏感だった。
それくらいに、異界は、常に私を見張っていたし、その入口は、いつも突発的に私の目前に出現した。

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道の途中に、一本の大きなネムの木があった。

「あの葉っぱなでるとお辞儀するのよ」

誰かに言われた。だけど、あの木は大きくて背も高かったから、私は一枚の葉にも届かなかった。
私はその植物に、まだ触れたことがなかった。


…この時期だったような気がする
風に身を委ねた靄の風景は、私の記憶を曖昧にしている…

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大木は、夢のような鴾色の花をつけた。
ぼうっと放たれる…、その花の存在はあやふやで、私は、もっと近くに行きたいと思った。

「あっちの道でお祭りがあってる」

私は、あの花が咲くと、心の中でそうつぶやいた。


雨上がりの湿度が、鉛の如く全身に張り付いて、あまり上手に歩けない。

私は、うっかり、あの道を歩いていた。異界の口が開いていたのだ。
あとずさるのは、前進するより恐い気がする。隠し事は背中に隠した。
私は、なるべく前だけに集中して、その道を丁寧に進んでいった。

「…お祭りがあってる」

なんという軽やかさだろうか!ネムの花々は、美しい生まれたての羽でできている。
ほら、あんなに高い所まで、たくさんの花が留まっているよ。

すれちがう瞬間、木がお辞儀した!
立ち止まって、私もゆっくりお辞儀した。

そして、またそうっと歩き出した。
もっと、じっくり、その木を見たいと思っていたけど、その行為が無礼な気がして出来なかった。
礼儀正しい会釈の挨拶。私は、このきっかけで異界を味方にした。
異界は、それから私にやさしくしてくれる。

「ネムって、『合歓』って書くんだね」

だいぶん大きくなってから、ある人に言われた。
(歓び合う)
この表記は、合歓の木にとても似合っている。こういう発見は、私もいつか、特別な人に教えたい。

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靄が出ている。

…今日も、すべからく合歓の木は、ゆっくり合掌してからお辞儀をする。

2006年06月16日

2006.6.16

今宵月が昇ったら、公園へ、紫陽花泥棒に行きませんか?
ああ、みなさん、花バサミを忘れずに。

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2006年06月12日

2006.6.12

豆腐屋ジョニーは朝が早い。
フクロウの眠る頃、ジョニーはゆっくり毛布を剥いだ。
まだ朝日の射さない窓に向かって、ジョニーは深々とお辞儀をする。
そうすると、今日一日のエネルギーが、指先まで満タンになる気がするのだ。
窓から、クチナシの匂いがほのかに香った。午後から雨が降るかもしれない。

ジョニーはそれから拭掃除をする。
この時刻が、埃達が一番静かに沈澱してると、昔おばぁちゃんに習ったからだ。
毎朝、決まって掃除をするのは、別に、ジョニーがきれい好きだからじゃない。
一般に思う「そろそろ掃除でもするか」のタイミングがわからないだけだ。
ジョニーはわからないことがまだたくさんある。わからないことは、いくら考えてもわからない。
だから、掃除は毎日することに決めた。

一通り部屋を清めると、ジョニーは自転車で町を一周する。雨の日も傘はささない。
規則正しく自転車を漕いで、町の変化に気を配りながら、さりげなく精神を統一させる。
そのうち、自分が内側から、張り詰めてピンとなる感じがなんともいえない。
息は絶対乱したらダメだ。

一等高台にある塔に着くと、天気の日、そこからだけ見える島を見るのを楽しみにしている。
正確には、そこから島が見えると、今日は天気だと思うのだ。

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ジョニーは、いつかその島で暮らしたいと思っている。
豆腐屋は、水のきれいな海辺の町がよく似合うような気がするからだ。
豆腐を売り歩くラッパの音色と船の汽笛と海猫の鳴く声…

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そのイメージは、ジョニーの想像する幸福に限りなく近かった。
ジョニーの幸福は、あの島にある。ジョニーは島の名前を知らない。


町を一周して部屋に帰ると、パンを食べたら、もう店に出る時間だ。
太陽は、いつの間にかすべての世界を明るくして、キラキラ…、
いろんなものにそれぞれ色を加えている。
確固たる存在のない、色という事象も、以前から気になる、わからないのひとつだ。
僕の好きなあの色は、みんなにはどんなふうに写っているの?
そんなこと、とても怖くて一生聞けない、と、ジョニーはまた心の角でつぶやいた。

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店にもジョニーは自転車で行った。
今日もジョニーは、豆腐屋で店番をしている。

2006年06月10日

2006.6.10

私はどちらかというと、季節を重んじる方だと自負しているのですが、
夜中のコタツと、夕ご飯の湯豆腐は今も欠かせません。
湯豆腐を全身汗だくになって食する感覚は、それはそれで、この季節を満喫してると言えなくもない…
といっても、この感覚に付き合ってくれる人物はほとんどないのもまた事実。真理なり。

偏愛のひとりよがりは、そこがまた愛しく思えるのです。
今夜はいつもの材に加えて、弓なりのオクラを食そうか。

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朝焼けの花びらはとうとう朽ちて、深緑の葉が一層みどりに感じられる夕暮れです。
久しぶりに、蝙蝠が飛んでいるのが見たい気がします。

今朝の6月の空は良かった。

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