2005年11月30日

2005.11.30

今日は一段と風が強かったから、カメラを持って散歩に出掛けた。

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これは昨日の話…

馴染みの樹々が、その幹を露にして、見上げると、モノトーン調が冬空の深みを増している。
意外だったのは、銀杏が最後に黄葉したことだ。

始めに欅や西洋カエデが色づいて、特に日当たりの良い、背の高い樹々は、
我先にと、この土地に秋を呼び込んだ。
次いで、桂や、常用樹に寄生した蔦が色づいた。深緑の上の赤や紫は美しく、川沿いの道を彩った。
それから、桜やホウの木が色づいて、その樹々の占める割合に、街の景色が圧倒された。
紫陽花ミイラの並木道も、この頃が一番美しかった。
この並木は、6月からゆっくりゆっくり時間をかけて、
いろんな色を映してようやく、この飴色に辿り着いた。

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そして、今日…
昨日までなんとなく歩いた道が見違えた。銀杏が黄金に変わったからだ。
あの肉厚の葉は、鮮やかな黄色をたっぷりと讃え、陽に透けない葉脈は、美しい輝きへの自信だった。
もの愁う、はかなさ誘う特有の、あれら他のどの樹とも違う、晩秋の勢いがあった。華やかなのだ!
晴れ晴れと秋が終わった。銀杏が最後に黄葉するのは、しごく当然の理なのだ。

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…私は、何故だかひたすらに、塩マメあんみつが食べたくなって、先ほど行動に移したのです。
…秋の不思議。

2005年11月24日

2005.11.24

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物憂げな午後…
冬の日差しは、深い眠りのような影になって、私の後をついてくる。

そんな午後…、街路樹は鮮やかにざわめき、思えば、いつの天然も美しかった。
光の粒子が、刻々と、それらの色を創り、私はただ感じればいいだけだ。
…近頃は色が冴えないと、景色が判然と映らないと、
不図つぶやいてしまったら、原因は、自分の中にある。
そんなにも、天然は常に輝いている。

あっちに天使の階段が出来た!

夕映えに、残り少なの葉群れが色を増して、街に甘い香りが広がる。
私は、桜の大木の真下にいた。
大地を余す事なくサックリ隠してしまった落ち葉…、
ああ、桜の葉は、花びらと同じ数だけ、大地に散るのかもしれない。
その思考は、宇宙の不思議に触れたみたいで、私の心を明るくした。

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「ほら! あそこに一番星が光っているよ」

2005年11月23日

2005.11.23

魔法使いはマッコウクジラと友達です。

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マッコウクジラはペロペロキャンディーが大好きでした。ペロペロキャンディーの渦巻には、
どんな秘密が隠されているのか?とても知りたくてたまりません。
それから、一人で物思いに耽るのも好きでした。
マッコウクジラは、きわめて悲観主義者的思考でしたが、その思考に対して、きわめて楽観的でした。
たとえば…、
(自分はどうしてこんなにずっくり大きな体なんだろう。もっと小さくてキュートに泳ぎ回れたら!
こんなに大きいから、みんな怖がって知らん顔だ。この悩みと悲しみには、
きっと誰も気付いてはいまい。ああ、不幸だ。何かの役に立つでもない。
なんで生まれてきたのだろう?毎日ただプカプカ泳ぐだけ…
それにしても、海は広くて助かったなぁ。)

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こんな時、友達の魔法使いの事は思い出しません。これは、マッコウクジラの一人遊びです。
また、噂話が好きでした。マッコウクジラは、ずっと海の中にいましたが、
いつかフィンランドの森をゆっくり散歩したいと空想しました。それは、さざ波が噂していたからです。
さざ波の噂話はいつも魅力的でした。

マッコウクジラは、いつも一人で泳いでましたが、実は一人ではありませんでした。
時として、世界はそんなもの……。

魔法使いはそれで満足♪

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この夜、西方から、ラクダのため息が聞こえました。食卓にピーマンの肉詰めが出されたからです。

このため息も、魔法使いを満足させる、大切な世界の要素だったのです。


つづく?

2005年11月17日

都会の街猫 Part.7

都会の街ネコの見る夢は、
それはたとえばクンミンの空の下
そこはね、別名が「常春」なんだって
「常春」って、ずーっと、春ってことなんだよ
寒くて凍える木枯らしの夜、蒸し蒸し暑い凪の夕べ、
そんな日は一日もないんだって!
そこで僕は、毎日空を見上げて暮らすんだ
春の空って好きさ
だって、ぼんやり眺めるのに丁度いいじゃない
とびきり寝心地のいい草原でうーんって伸びをしてリラックス
白と黄色の花が輪になって咲いてる
ここなら虹の橋を渡れるかもしれない
あっ!!
東の方からドラゴンがこっちに翔んでくる!
僕の上まで来て、慌てて雲のフリしたよ

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2005年11月16日

2005.11.16

親愛なるダニエルへ

雨の音が好きかもしれないと気付いたのは、割りと大人になってからだ。

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雨の日は休んでいても気がひけない。私の精神はそのように繊細だったのだ。
我が意志と同意の余白に罪は感じないが、そうでない人生の余白を、私はきっと多く過ごしていた。

そんな日々…、雨が私を慰めた。

ダニエルは誰の寝息を聞いているの?

月がまもなく満ちてきます。
おやすみなさい。

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2005.11.16

ああ、誰の閃きか…
それとも、神の試煉なのか…

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そのメリーゴーランドは、生きてる馬で創られていた。
曲が始まると、反射的に歩き出す馬達は、いかにも機械的で、目を逸らさずにはいられない。
ズンチャッチャカ♪ズンチャッチャッ♪

金銀の鞍、ビロードのマント、荘厳な飾り細工の馬車は2台…
それらが、一層、その愁いの色を深くした。

憂いを知らない子供達が、たまに馬に跨がった。
誰が子供達を責められよう。だがそれは、確かに、「知らない」という罪を犯した。

草原を駆けるでかく、暑い土をかみ締めるでなく、ただぼんやりと、
ひづめは冷たいコンクリートをなでた。
曲が止むと、その歩行は力なく止まり、馬達は物になりすます。
その睫毛に青い鳥の影はなかった。

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ああ、私に何が出来る?

ああ、今ここに嵐を呼んで、メリーゴーランドに稲妻を落とし、馬達を開放してやればいいというのか?

ああ、しかし馬達は、もう未来を信じて走り出しはしないだろう。

ああ、あの濡れた瞳は、何と呟いている?瞳に夢見るは、かの森か?

ああ、私に何が出来る?

ああ、お前達を連れて、かの森を超えてしまおうか?そして、あの新鮮な泉の場所まで走ろうか?

お前達、まだ夢は見れるかい?

まだ明け切れぬ朝に、異界の色はにじんで溶けて…
私はこんな夢を見た。

都会の街猫 Part.6

都会の街ネコの見る夢は
たとえばそれは、月の中のウサギ
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今宵もクルンと地球一周
いいな、いいな、いいな
でも、本当はお月は動いていないんだって!
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そんなの大したことじゃないよね
だって、「動いてるみたい」より、「動いてる」方が断然イカしてるもんね
ほら、今日はアルゼンチンの上空でダンス
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もうすぐで、ナスカに描いた僕の落書き見えてくるよ
ナスカの地上絵のすぐそばさ
見て!
いっつも追いかけても、すぐ飛んでいっちゃうあの鳥より高く飛んでるよ
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ここだけの話さ、
お月の中のウサギの耳は、天女の羽衣と同じなんだって
僕の耳も伸びてくるかな?

2005年11月11日

2005.11.11

赤ピーマンには、魔法使いが棲んでいます。

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2005.11.11

そのキリンは、どのキリンよりも、随分と首が長かった。
そのキリンは、地平線も遠くに霞む、あるサバンナに住んでいた。

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そこには、一本、飛び抜けて背の高い木があった。
その木は、いつも悲しんでいた。背が高過ぎて、誰も遊んでくれないのだ。
フラミンゴの群れは、その木をはさんで、ふたつに分かれ、別々の場所に飛んでいった。
その木はまた悲しんだ。

キリンは、その木を毎日見上げた。葉の繁みから、毎日こぼれるしずくが、いつも気になったからだ。

「どうしたの?」
その木の下で、キリンが毎日見上げていたら、キリンもみんなとはぐれてしまった。
その木は、かわいそうに、そんなキリンに気付かなかった。だけど、キリンは見上げ続けた。
キリンはどんどん首が長くなって、その木もぐんぐん伸び続けた。

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キリンとその木は出会えたか?
それは、まだ私にもわかりません。

2005年11月09日

2005.11.9

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瞼が、潮風に吹かれた後みたい。

ここに海はない。
散歩帰り、一番最後の曲がり角。忽然と現れる都会のビルの光。
ああ、そうだ。蜃気楼…
それは蛤のあくび。

今夜はスパゲッティにしよう。

2005年11月08日

2005.11.8

私の住む地区は黒猫の街。

黒猫は、みんなカタカタの白いソックスを履いていた。
赤いビロードのリボン、リンリンと鈴虫の鈴、漆黒の毛並みは人目を魅く。
パキンと金色に光る瞳は、他者を寄せ付けない閃光を秘め、その輝きは月の雫の如く美しいのだ。

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それらは、太陽の余韻と予感の時間に、往来に悠々とたむろする。
夏の日、ゆったりと黒猫達が、思い思いの場所で寝転んでいる姿は、いかにも暢気で平和的だ。
私はそういう地区のムードが気に入っている。

新月の晩、黒猫は影踏みをして遊んだ。オレンジの街燈に、影は伸びたり縮んだりして…
黒猫は影とダンスを楽しむように、それは軽やかなステップで、夢中になって影踏みをした。

夜の公園にとろけた黒猫は、ほとんど気配を感じさせない。きっと、どこかの闇に潜んでいる。
それはちょっと緊張感のある空気でわかる。ブランコやスベリ台のそばにいないのが、それっぽい。
私は公園の黒猫の雰囲気を好んだ。

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私の部屋にも黒猫がいる。ソックスは履いてない。猫族にしては珍しく、家族単位で暮らしている。
父猫、母猫、子猫は2匹、名前をつけても呼ぶことはない。だから、名前は忘れてしまった。
この家族は、一定の距離をお互いが保ち、故に、私もそのルールに従っている。

昼寝をしてても触れることはない。彼らはよく遊ぶ。
風もないのに…クルクルと気持ち良さげに回転している。それは、とても和やかな風景である。
私はこの猫の家族を愛した。

往来に住む黒猫は、雨の日はどこに消えるのだろう…
昨日は午後から雨だった。あの猫達は、傘も雨宿りも似合わない。

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雨の日は、まだ雨の降り出してない、時空を旅しているような気がする。

2005年11月07日

2005.11.7

今見たいのは、パナマ運河の両岸の雲。

明るく晴れたグリーンの岸辺に、ススキの穂は輝いて群れ、歓迎の旗のようにいつまでも続く。

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そこから先は、全くソラ!
雲が低く夢幻に広がり、それは幼稚園児のお絵描きで描いた、あの雲らしい雲だった。

あんなに、ソラと雲を近くに感じたことはまだない。
あれは良かった。
…天女が奏でる天上の音楽は、時にはロックンロールかもしれない。

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2005年11月02日

2005.11.2

それは主に窓辺での儀式。

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凜と薫る大気に、織り成す風景に、こっそりとまじわる私のまざり方…
ドミトリの窓辺 トレインの隅 カフェのテラス 公園のベンチ…、それから…
それから、細いペンとお気に入りの便箋とポストカード。

変わった切手が貼りたくなったら違う国に行けばいい。
神経をリラックスして研ぎ澄まし、眼球に写る事実よりも胸に沸き立つ一粒の真理に気を配る。
桔梗色の空は、夜明けだった?夕闇だった?

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窓辺の木を見つめている。
光と葉っぱがじゃれ合っている。木肌の粗忽さに永久を感じる。
いつからここにいるのだろう。花は咲くだろうか。いつ咲くだろうか。
それは何も語らない。
イメージがはじけた。

はたしてこの木は、自分が木だと気付いているのか?
そう、きっと知らないんだ。故に、あのように美しい。意識皆無の美しさ…
そんなことが浮かんで来る日は調子がいい。それを一番伝えたい人に手紙を書く。
伝えたいことがいっぱいの日は、いっぱいの人に手紙を書く。そして、解き放つ。
私はその時、自分が木である。
街の新聞を転がす風である。ブーゲンビリアの塀であり、素朴な川の橋である。
すべて愛しくてたまらない。
私はそうやって、いついつまでも、返事不要の素敵な手紙を書き続けたい。

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…こっそりと交わる、私のまざり方。

2005年11月01日

2005.11.1

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小妖精パックのほれ薬。
思い当たるのはつる植物、花びらは薄いほうがいい。摘んだらすぐに枯れてしまう。
花の影が揺れて、雲になる瞬間!
少年はサンドウィッチに夢中だった。
ハムとピクルスの心地よいリズムが、その少年のすべてであった。
誰が少年を責められよう…
小妖精パックはそんな少年に恋をした。