2005年11月16日

2005.11.16

ああ、誰の閃きか…
それとも、神の試煉なのか…

blogphoto_a_077.gif

そのメリーゴーランドは、生きてる馬で創られていた。
曲が始まると、反射的に歩き出す馬達は、いかにも機械的で、目を逸らさずにはいられない。
ズンチャッチャカ♪ズンチャッチャッ♪

金銀の鞍、ビロードのマント、荘厳な飾り細工の馬車は2台…
それらが、一層、その愁いの色を深くした。

憂いを知らない子供達が、たまに馬に跨がった。
誰が子供達を責められよう。だがそれは、確かに、「知らない」という罪を犯した。

草原を駆けるでかく、暑い土をかみ締めるでなく、ただぼんやりと、
ひづめは冷たいコンクリートをなでた。
曲が止むと、その歩行は力なく止まり、馬達は物になりすます。
その睫毛に青い鳥の影はなかった。

blogphoto_a_078.gif

ああ、私に何が出来る?

ああ、今ここに嵐を呼んで、メリーゴーランドに稲妻を落とし、馬達を開放してやればいいというのか?

ああ、しかし馬達は、もう未来を信じて走り出しはしないだろう。

ああ、あの濡れた瞳は、何と呟いている?瞳に夢見るは、かの森か?

ああ、私に何が出来る?

ああ、お前達を連れて、かの森を超えてしまおうか?そして、あの新鮮な泉の場所まで走ろうか?

お前達、まだ夢は見れるかい?

まだ明け切れぬ朝に、異界の色はにじんで溶けて…
私はこんな夢を見た。

trackbacks

trackbackURL:

comments

comment form

(kaworu blog にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

comment form