2005年11月16日
2005.11.16
ああ、誰の閃きか…
それとも、神の試煉なのか…
そのメリーゴーランドは、生きてる馬で創られていた。
曲が始まると、反射的に歩き出す馬達は、いかにも機械的で、目を逸らさずにはいられない。
ズンチャッチャカ♪ズンチャッチャッ♪
金銀の鞍、ビロードのマント、荘厳な飾り細工の馬車は2台…
それらが、一層、その愁いの色を深くした。
憂いを知らない子供達が、たまに馬に跨がった。
誰が子供達を責められよう。だがそれは、確かに、「知らない」という罪を犯した。
草原を駆けるでかく、暑い土をかみ締めるでなく、ただぼんやりと、
ひづめは冷たいコンクリートをなでた。
曲が止むと、その歩行は力なく止まり、馬達は物になりすます。
その睫毛に青い鳥の影はなかった。
ああ、私に何が出来る?
ああ、今ここに嵐を呼んで、メリーゴーランドに稲妻を落とし、馬達を開放してやればいいというのか?
ああ、しかし馬達は、もう未来を信じて走り出しはしないだろう。
ああ、あの濡れた瞳は、何と呟いている?瞳に夢見るは、かの森か?
ああ、私に何が出来る?
ああ、お前達を連れて、かの森を超えてしまおうか?そして、あの新鮮な泉の場所まで走ろうか?
お前達、まだ夢は見れるかい?
まだ明け切れぬ朝に、異界の色はにじんで溶けて…
私はこんな夢を見た。
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- at 18:36
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