2005年11月08日

2005.11.8

私の住む地区は黒猫の街。

黒猫は、みんなカタカタの白いソックスを履いていた。
赤いビロードのリボン、リンリンと鈴虫の鈴、漆黒の毛並みは人目を魅く。
パキンと金色に光る瞳は、他者を寄せ付けない閃光を秘め、その輝きは月の雫の如く美しいのだ。

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それらは、太陽の余韻と予感の時間に、往来に悠々とたむろする。
夏の日、ゆったりと黒猫達が、思い思いの場所で寝転んでいる姿は、いかにも暢気で平和的だ。
私はそういう地区のムードが気に入っている。

新月の晩、黒猫は影踏みをして遊んだ。オレンジの街燈に、影は伸びたり縮んだりして…
黒猫は影とダンスを楽しむように、それは軽やかなステップで、夢中になって影踏みをした。

夜の公園にとろけた黒猫は、ほとんど気配を感じさせない。きっと、どこかの闇に潜んでいる。
それはちょっと緊張感のある空気でわかる。ブランコやスベリ台のそばにいないのが、それっぽい。
私は公園の黒猫の雰囲気を好んだ。

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私の部屋にも黒猫がいる。ソックスは履いてない。猫族にしては珍しく、家族単位で暮らしている。
父猫、母猫、子猫は2匹、名前をつけても呼ぶことはない。だから、名前は忘れてしまった。
この家族は、一定の距離をお互いが保ち、故に、私もそのルールに従っている。

昼寝をしてても触れることはない。彼らはよく遊ぶ。
風もないのに…クルクルと気持ち良さげに回転している。それは、とても和やかな風景である。
私はこの猫の家族を愛した。

往来に住む黒猫は、雨の日はどこに消えるのだろう…
昨日は午後から雨だった。あの猫達は、傘も雨宿りも似合わない。

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雨の日は、まだ雨の降り出してない、時空を旅しているような気がする。

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