2005年10月03日

2005.10.3

吹く風の心地良さに不図心を奪われて、しばし立ち止まって目を瞑る。
風が物語を運んでくる。
北西の方で鳶の鳴く声が聞こえる…

茜色の雲はまだ眩くて、だけどそれのたなびく裾から闇の気配もたゆたってくる。
夜は今日は東からやって来た。

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夏の残骸はまだそこここに溢れていて、ほらスタジイの木、天まで続く蝉の抜け殻。
散り切れない百日紅の花の群れ。枯れない向日葵。アゲハの羽は千切れていた。埃っぽい散歩道…

夕暮れと大気と大地の摩擦が、私にノスタルジィを運んでくる。
蝙蝠がチクチクキリトリ線上に飛んでいる。
ソナチネ、タラチネ、うさぎのダンス。

私はあの日、ジグザグに自転車を漕ぐのが割と気に入っていた。

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