2005年10月06日

2005.10.6

13時のざわめき。

太陽の眩さは時として私の世界に闇を放つ。私はふらふらと表に出た。
立枯れの彼岸花は火傷のように爛れていて、見るモノは目を背けないではいられない。
この午後に律として、それは不気味と似つかわしかった。

私はそれらを根元から踏付けた。私はただひたすら真っ直ぐに進んだ。
南京ハゼが疎らに赤く染まっている。その赤を、私は美しいと思った。
まだ生まれたての赤…銀杏は赤く染まらない、私は何故かそんなことを考えた。
アスファルトは妬けて、それを秋風が慰めていた。
    
私はさらに真っ直ぐ進んだ。
クラクションが背中に聞こえる。ある種の隔たりを松ぼっくりで埋め尽くす。
どこかで犬が鳴いている。悲しい響きだ。私は「夕焼け小焼け」のメロディーを連想した。

どれくらい歩き続けたのだろうか。私は歩くのをやめた。暗闇はいつしか青に変わり、
それは刻々とその色を変えた。しかしそれは、またひたすらに碧かった。

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青い世界は若干、戸惑っているようにもみえ、だがそれは、私だったかもしれない。
私はその青い世界を目前に見つめていた。でも溶けてしまいたいとは思わなかった。
私はそれが永遠でないと知っていた。
別に、永遠が欲しいわけではないけれど、溶けない理由は欲しかった。

たまに銀色が跳ねた。銀色は時々不安げに、リズムを刻んで跳ね続けた。
青の境界を求めていたの?白い小さな花花が散り、あるいは咲いて…
それらが手を繋いで「花いちもんめ」にかたってと誘った。
私は返事の代わりに、耳の聞こえないふりをした。
遊ぼう、遊ぼう、…

秋はキラめき、青は悠然として、私と青の間はもう随分透明だったかもしれない…

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